葬儀のあれこれ

初七日法要とその挨拶

法事・法要は本来寺院が行う仏教行事全般を含んだ行事を言い、お釈迦様の誕生を祝る「観仏会」(かんぶつえ)や除夜会、元旦会といった行事が法事なのですが、我々にとっては身内で亡くなられた方のための追善供養が法事・法要の身近な存在です。

しかしながら戦中、戦後の大家族世代から小規模な家族に世代交代が進んだ現在では親戚付き合いも少なくなり、法事・法要に馴染みのない方も増えているのが現状であり、そんな世代が葬儀や供養の儀式を開催することになる代表的な契機は親の他界です。

今回は「初七日法要の挨拶」をテーマとし、法要の内容や挨拶の仕方を整理してみます。

長男に生まれるなど家系の主たる方にとっては人生に一度は経験することとなる法要挨拶ですから是非一読されてみては如何でしょうか。

 

 

目次

初七日法要とは

供養は初七日に始まり、二七日、三七日、四七日と続き没後四十九日をもって喪明けとされ、没後の四十九日間を「中有(中陰)」とし、これをもって故人の魂が自宅を離れ成仏するという教えであり、仏教的には「生有」は生まれること、「本有」が生まれて死ぬまで、「死有」が死ぬこと、「中有(中陰)」は死んでから次の生に向かうまでの期間ということになっています。

一般的に遺族以外の参列を伴う法要としては上記の「初七日」「四十九日」とあり、年忌法要として一周忌が行われ、その後満二年目で三回忌、同じく七回忌、十三回忌、十七回忌、二十三回忌、二七回忌、三十三回忌といった具合に行われます。

追善供養としての法要・法事は個人の冥福を祈る仏教行事であり、仏教では「中陰の七仏事」と言って没後7日毎に亡くなった人を供養することに関連しています。

この供養は、閻魔大王が故人の極楽浄土行きへの裁きを七日ごとに行い、四十九日目で判定を下すとされる教えに対して、生きている遺族が行う善行を持って故人の善行となり、それがまた自分に戻ってくるという考え方に基づき、故人が成仏できるように祈るということとされています。

 

本来、初七日法要は没後七日目に行われる法要と言うわけですが、現在では七日後ではなく葬儀を同日の、出棺、火葬と続いた「骨上げ」後に引き続き、行われる「繰り上げ法要」や、火葬の前の葬儀中に初七日法要を行う「繰り込み法要」が主流となっており、葬儀、初七日法要後に参列してくださった方々へのお礼と感謝として振舞う会食会(お斎)を開くことも一般的です。

 

 

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初七日法要の流れ

最近は、初七日法要を葬儀・告別式に引き続いて、同日に行うことが多いため、これを想定とした流れを記載しておきます。

地域や宗派によっては火葬場で行われる場合などがありますが、殆どの場合が以下の流れと考えて差し支えないと思います。

繰り上げ法要

1)葬儀

・開式

・読経

・弔辞奉読

・弔電奉読

・焼香

2)告別式

・一般参列者焼香

・喪主挨拶

・閉式

3)出棺

4)火葬

5)還骨法要・還骨勤行

6)初七日

7)お斎(会食)

※「繰り込み法要」の場合は6)が1)に繰り込まれます。

 

 

初七日法要の挨拶語集

挨拶のタイミングは葬儀・告別式での挨拶お斎の開催の挨拶献杯及びお斎の締めの挨拶です。

お斎を開催する場合は葬儀・告別式の挨拶でその案内もします。

葬儀社に依頼して葬儀を行う場合は、葬儀社の進行役もいるため前もって手順など打ち合わせで決めておけば何の問題もないでしょう。

また挨拶の内容は「感謝とお礼」を述べることがメインで構いません。

法事・法要の挨拶は、故人の冥福を祈るために参列していただいた方々へのお礼や、故人を亡くした遺族がこれから生きていくための決意を伝えるということが主旨となります。

以下に、挨拶の語集を記載しておきます。

アレンジすればどの場合の挨拶でも使えるような語集ですので、挨拶のタイミングや法要の雰囲気など状況に応じて組み合わせて使ってください。

 

「本日は…」で始まる冒頭の語集

「本日は、皆さまお忙しい中にも拘らず、故人(名前)を最後までお見送り下さり、本当にありがとうございました。」

「本日は、ご多忙中にも拘わらず…」「ご多忙中にも拘わりませず…」

「また、遠方よりはるばるお越しくださった方におかれましても…」

「…最後までお見送りいただきましたこと…」

「…故○○の葬儀ならびに告別式にご会葬くださりまして…」、

「…故人(名前)の初七日法要にご参列いただきまして…」

「…最後までおつきあい頂きまして…」

「…お集まりいただきまして…」「…お運び下さいまして…」「…参列を賜りまして…」

「…遺族を代表いたしまして心よりお礼申し上げます。」

「…皆様には大変お世話になりました。」「…あらためてお礼申し上げます。」

 

「おかげさまで…」など、冒頭に続ける語集

「おかげさまで母の初七日法要も無事終えることができ、母も安心していることと思います。」

「おかげさまで滞りなく終えることができ、故人も安堵していることと思います。 」

「皆様のお力添えのおかげで通夜から葬儀・告別式を滞りなく済ませることができました。」

「おかげさまをもちまして、滞りなく式を済ませることができ、こうして(出棺)の運びとなりました。」

 

通夜、葬儀に対するお礼(初七日に行う場合など)

「先日の通夜、葬儀に参列をいただきまして心からお礼申し上げます。」

「先日の葬儀の祈りには、親身に骨折りくださいまして、大変助かりました。」

「皆様においては葬儀、初七日法要に参列頂き重ねましてお礼申し上げます」

 

簡単な近況・お声がけしていただいた方々へのお礼

「突然のことで、まだ心の整理ができておりませんが、故人に心配をかけぬよう一日も早く立ち直り、家族で力を合わせて生きていこうと思います。」

「日も浅いこともあり、気持ちの整理もなかなかつきませんが、少しずつ落ち着いてきたと思えます。」

「皆様からの励ましの言葉を頂き、徐々に気持ちの整理もつき始めています」

「皆様のお慰みの数々には本当に励まされた思いです」

 

会食(お斎)の案内語集

「ささやかではございますが、別室にて粗餐の用意してございます。皆様、お時間の許す限りごゆっくりお過ごしになってください。」

「この後、粗宴ではございますが…」「ささやかではございますが…」

「何かとお忙しいところ恐縮ではありますが…」

「…○○の思い出話でもしながら召し上がっていただければと思います。」

「…故人を偲びながら召し上がっていただければと思います。」

「…皆様のお疲れをいやすことができればと存じます。」

「…おくつろぎのうえ、ごゆっくり召し上がっていただければ幸いです。」

「…どうぞ、お時間の許す限り、ごゆっくりおくつろぎください。」

また、お斎の開催をしない場合は、

「本来ならば、この後おもてなしをさせていただきたいのですが、こちらの都合でかないませんでした。ささやかながら、お礼の気持ちをご用意いたしましたので、是非お持ち帰りくださいませ。」

 

献杯語集

「故○○を偲び、献杯の辞を述べさせていただきます。御唱和をお願いします。献杯。」

「…御冥福と、皆様の御健勝を祈念いたしまして献杯させて頂きます。…」

「…皆様と故人の思い出を語らいながら、冥福を祈りたいと思っております。…」

「… それでは、献杯のご唱和お願いいたします。献杯。」

献杯の後に「ありがとうございました。それではどうぞお食事をお召し上がり下さい。」と付け加えれば完成です。

 

決意など語集

「どうかこれからも、故人の生前と変わらぬご厚誼を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。」

「今後は残された家族一同、力を合わせて生きていく所存でございます。」

「これからも変わらぬご支援のほどよろしくお願い申し上げます。」

 

締めの挨拶は冒頭とほぼ同じ

「本日はご多忙中にもかかわりませず、最後までおつきあいを頂きまして、まことにありがとうございました。」

「…お蔭様でとどこおりなく葬儀を無事にすませることができましたこと…」

「…お陰様で葬儀・告別式に続き、初七日法要と無事執り行うことができました。」

「…皆様と故人(名前)をしのぶことができましたことは、まことによい供養にさせていただけたと感謝にたえません。」

 

お開きの語集

「本日は長い時間、最後までお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。」

「つもる話は山ほどございますればお別れするのは誠にしのびないものの、このあたりにてお開きとさせて頂きたいと存じます。」

「短い時間ではございましたが、この辺でお開きとさせて頂きたいと思います。」

 

支援の依頼など語集

「どうか、これからも変わらぬご支援をよろしくお願い申し上げます。」

「今後とも、私たち家族を何卒よろしくお願い申し上げます。」

「どうぞ今後とも故人(名前)同様、変わらぬご指導ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げます。」

「今後とも変わらぬお付き合いのほどよろしくお願い申し上げます。」

 

 

まとめ

如何でしたでしょうか。

今回は初七日法要の意味や挨拶の語集を紹介させていただきました。

しかしながら死別には色々な状況があり、悲しみに満ちた葬儀・法要のケースもあります。

時間を割いて参列していただいた方への礼儀として挨拶は欠かせませんが、葬儀に引き続く初七日などでは心中の整理がついていない場合も多々あるかと思います。

気丈にふるまえど人間ですからどうしようもない心情に陥ることも故人の思いが強ければ仕方のないことです。

あくまで参考例として記載してありますが、涙とお辞儀だけでも十分感謝の気持ちは伝わります。ご親族の心中など人の悲しみや心のいたみを察することができるのが、我々人間ですから。

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